ときには車のはなし

今、小田原厚木道路を走っています。運転しながら喋っているので、いつもより頭がまとまっているかどうかは自信がありません。先日も長距離ドライブがてら収録しましたが、あのときは住所変更の手続きが目的でした。今回はもっと単純で、友人との旅の帰り道です。

そもそもなぜこのタイミングで旅に出たのか。2026年9月の5日から8日あたり、中部から関東にかけて、人口密集地帯を中心にひどい豪雨がありました。僕の場合、いちばんお金を稼いでいるIT系の仕事は場所を問いません。車を自分で運転していなければ、移動中でも仕事はできてしまいます。だから雨で畑に出られないことが確定した瞬間に、以前から宿題になっていた友人との旅を差し込んだわけです。

住んでいる伊東から東京までは自分の車で行って、そこで友人の車に乗り換え。僕の車は友人宅に置き去りにして、北は山形県の米沢市までぐわーんと行きました。帰りは水戸を経由して海側へ降りて、ぐるっと2泊3日。今はその最後、東京から伊東へ戻る途中です。

畑は5日間まともに出られていません。雨風がすごかったので、今日ちらっと見に行って、崩れた部分に手を入れられたらやって帰ろうかというくらいの状況です。9月というのは、露地栽培をやっていると作物が少ない時期なんですよね。夏物が終わって秋冬物に切り替えていく端境期で、キュウリなんかは完全に終わっています。僕自身はハザ掛けにあたっていて、毎日の収穫出荷みたいなルーティンはあまりない。

ただ、秋冬物の苗を育てている時期でもあって、これがまずい。種をまいて芽が3センチくらいまで出てきて、よしよしと思っていたところにあの雨です。苗床、そこそこやられているだろうなと。ダメージがあるとまき直しがきく作物もあるんですが、白菜みたいに時期を外すともう無理、というものもある。白菜は苗を買ってきて植えても利益がまったく出ないので、そうなったら諦めるしかありません。到着して苗床を見るまでは、半分諦め、半分どうにか生き残っていてくれ、くらいの気持ちでいます。

で、今日はその旅の話というより、旅の道具の話をしたいんですよね。というのも、今回一緒に行った友人が、今年の初夏にテスラのモデルYLを納車していまして。5人家族なので、6人乗りが出たから買ったという流れらしいです。車って買ったら乗らないと価値が出ないじゃないですか。超絶当たり前の話ですけど。東京都内の車は9割が動かず止まっているだけ、なんてよく言われますよね。彼も新車を走らせたくてうずうずしていて、どっか行こうよとずっと言っていました。それに僕が乗った、というのが今回の旅です。

他人のテスラで長距離を走ってみて

運転もそこそこさせてもらいました。郡山から米沢まで150キロくらい、米沢から水戸まで300キロくらい。それだけ握れば、なんとなく感想は言えます。

まず一番感動したのは、ガソリン車じゃないということ。当たり前ですけど、これが想像以上でした。EVの一番の問題点は、充電設備がガソリンスタンドほど密に整っていないことで、だから普及が進まない。ずっとその途上にあるわけですよね。でもテスラはアメリカのビッグマネーで専用のスーパーチャージャーを点々と増やしていて、もう実用に耐えるレベルに来ていました。

今回は最初に郡山のスーパーチャージャーまで走って一泊。充電しながら30分ほど過ごすと、着いたときに20パーセントだったバッテリーが、出発するころには80近くまで回復している。その30分は、近くの公園を散歩したり、コンビニで物資を買ったりしていれば消える時間です。なんなら車を降りずに、中で仕事をしていてもいい。60パーセント回復すれば300キロ以上は走れるわけで、これはもう十分です。

運転の感触そのものは、正直に言うと「車は車やな」でした。僕はトヨタ系列しか所有したことがないので、たまにホンダや日産を運転すると、ああずいぶん違うなと思う。テスラで感じた違いも、それと同じくらいの差でした。メーカーのポリシーで操作感が違うよね、そうだよね、という範囲です。

ただ、EVならではのところはいくつかありました。バッテリーが大きくて重いので、安定感がすごい。エンジンではなくモーターなので加速の出方が違うし、アクセルを離したときの自然減速、回生ブレーキというんですかね、これが結構きつめでした。もうちょっと優しく設計してほしいなと思いつつ、たぶんソフトウェアの設定で弱められるんじゃないか、という気もします。総じて、十分で高級車ですね、という感想です。安定感がありすぎて、うっかりスピードを超過しやすかったのは注意点ですけど。あと、エンジン車だと回転数の音でだいたいの速度がわかるんですよね。テスラはその情報が音から伝わってこないので、目視しないと今何キロか掴めない。もちろん静かなのは良いことなので、これは慣れの問題でしょう。

で、いろいろ運転させてもらった結果、一番のインパクトは何かというと、やっぱりガソリンスタンドに行かなくていい、これに尽きます。

給油って、地味にストレスなんですよね。どこかに向かう途中で給油する。たとえば畑に行きたいとき、僕は畑に行きたいんですよ。美術館に行きたいときは、早く美術館に行きたい。その途中で給油のために一回止まるのが、気持ち的に結構めんどくさい。かといって給油だけのためにわざわざ出発するのは、もっとめんどくさい。しかも毎回その場でお金を計算されて、今回は4000円でしたよ、と突きつけられる。これが自宅の電気代に吸収されると考えると、メリットが大きい。いや、めちゃくちゃ大きいと思いました。同じ距離を走るなら電気代のほうが相当安いはずで、コスト面でも優位です。(環境メリットについては、今は火力発電の比率が高いので、僕は横に置いておきたい派です)

レクサスを卒業できるか

そういうわけで、EVを選択肢に入れるのはありだなと思っています。テスラに限らず、下手したらBYDでもいい。中華勢は乗り出し200万くらいでELが手に入るらしいですからね。別の知人がテスラをポチったという投稿も見たので、やっぱり時代はEVかな、という空気は感じます。

ただ、僕が今毎日運転しているのは軽トラです。乗用車のほうにコストをかけすぎるのも、ちょっと過ぎたものだなという気もする。今のレクサスNXは6年乗っていて、まだまだ乗り続ける気持ちがあります。

このレクサスを買ったのは、とある企業のの子会社代表の立場で仕事をしていたころでした。その立場でコンパクトカーを運用するのは、なんというか夢がないというか。ちゃんとした車に乗っているか、というのは、社員に対しても社会的にも、そうしておくべきだろうという気持ちが少しあったんですよね。乗り出し300万で、6年乗って価値を按分すれば年間50万、まだ乗るなら年間30万くらい。移動手段の必要経費としては、まあこんなものです。

それ以上に、このレクサスというブランドを運用しているということが、自分の中では一つのメダルなんですよね。経済的な大成功とまではいかないけれど、一定の成果は出しましたね、というゲームのクリア証明。これがあるから、そこから逸脱してもいいと思える。もしこのミッションクリア感を持てていなかったら、まだ足りない、まだ足りない、というスパイラルの中にいた可能性が高い。

僕はお金稼ぎゲームに人生を使うのは、もう一旦ないな、という感覚なんです。僕の家系は僕で断絶しますし、兄弟ももういない。自分がいなくなったあとに財産をたくさん残さなきゃ、という属性を持っていない。だから、逃げられる程度、人に迷惑をかけない程度の稼ぎがあれば、あとはやりたいことに人生を投下したい。実績を一度証明できたことで、そこから解脱できた感覚がある。そういう意味で、このレクサスというアイコンは僕の中で結構デカかったなと思います。世の中には実用高級車ではクリアを感じられず、非実用高級車、例えばフェラーリに求める人もいるわけで、僕はこのくらいで卒業できる精神性でよかったな、と。だから、どこかのタイミングでこのレクサスを手放してEVに乗り換えるのも、全然ありかなと思っています。

最後に、旅そのものの話も少しだけ。トータルで800キロから1000キロ近く、二人で走りました。この企画に乗った理由は、車の中で喋る時間が非常に良いからなんですよね。飲み会の2、3時間で喋れることには限界があります。5、6年前に別の友人と片道2時間のキャンプに行ったとき、車中の会話が普段では到達しない幅と深さになって、それがすごく良かったです。長時間の手持ち無沙汰と、あの居心地。あれが良い。

今回の友人は僕がスーパーリベラル側、彼がスーパー保守側で、喧嘩はしないけど思想が深まる感じでもない。正・反みたいな話を面白がりながら喋る、という時間でした。数年前に似たようなドライブ雑談をやった友人は大学時代からの友人の中でも相当変な人間で、長らく自分が一番変な生き方をしていると思ってきた僕より、最近になって変なことをしだしたんですよね。俺より面白いことすんなよ、と思ったのが第一印象でした。その話はまた、彼と久々に飲むときにでも。

だいぶ長くなってきたので、今日はこの辺で。

※この記事はポッドキャスト音声データを元にClaudeが書き起こし、編集したものです。

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