なんだかなー

2026年9月27日、日曜日。晴れとは言えない、どんよりした曇り空でしたが、久しぶりに一日じゅう畑にいられる日でした。

秋冬作物の種まきも植え付けも、もう待ったなしの時期です。ここで作業が進まないと困るのは僕だけではなくて、周りの農家さんもみんな同じ顔をしているはずです。

で、僕のほうはというと、ついに管理機を手に入れました。土をガシガシ起こしてくれる、耕運機の仲間のような機械ですね。これまでは完全に鍬一本で開墾していたので、今日一日で進んだ作業量は、鍬でやっていたら土日を全部使っても丸1週間はかかっていたと思います(毎日8時間畑に出ているわけではないので、そのぶん差が大きく出ているところはあります)。

本当はガソリンで動く機械はあまり使いたくありませんでした。とはいえ、背に腹は代えられません。

使ってみて思うのは、鍬が細い筆だとすると、管理機は太いマーカーだということです。広い面を一気に塗れる代わりに、細かい線は引けません。深く耕しすぎると土の中の環境を壊してしまうので、なるべく浅めにと思いながら動かしているのですが、機械のほうはおかまいなしにぐいぐい前へ進むので、その加減がなかなか思うようにいきません。仕上がりも、思ったほどきれいにはならないんですよね(このあたりは僕の腕が上がればもう少しなんとかなるはずです)。

一方で、深く掘れるからこそできることもあります。大雨のあとに一時的に水が溜まってしまう場所に、手作業だったら到底やる気にならない高さの畝を立てられました。これは素直にありがたいところです。

それに来年は、今年の最低でも3倍、できれば5倍は作って売りたいと考えています。そう考えると、好き嫌いを言っている場合ではなく、もう必要不可欠な道具なわけです。

自給自足という言葉がありますが、今の時代にそれを一人でやりきるのはかなり難しいです。僕にできるのは自給率を少しずつ上げることくらいで、そのうえで作物を売ったお金で肉や魚を買う、というのが現実的な形だと思っています。豆腐は一度作ってみたことがありますが、割に合わないのでやめました(味噌も同じくです)。作る工程そのものは楽しいのですが、あまりにも生産性が上がらないものは、さすがに買ったほうがいいという判断ですね。

ハンナ・アーレントのあとに、異世界アニメを見た

畑の話はこのくらいにして、本の話です。実は先日一度話したのですが、音源の質がどうにもならなくてお蔵入りになってしまった回がありまして、その続きのようなものです。

今年は現実のほうのストレスが大きい時期が長く、紙の本はまだ20冊にも届いていないと思います。ただオーディオブックでかなり消化しているので、合わせると40〜50冊にはなっているはずです。オーディオブックはうっかり陰謀論の本を聞いてしまったりするので、最近は著者の経歴をちゃんと確かめてから再生するようにしています(これは本当に大事です)。

最近読んで面白かったのが、ハンナ・アーレントの伝記でした。カール・マルクスやアラン・チューリングのように、学者の名前がそのまま書名になっているタイプの本ですね。

アーレントは、いろいろなコンテンツを見聞きしていると本当によく名前が出てくる人です。2026年の今の考え方や世界観にも、かなり強く影響を残している学者さんだと思います。大戦の前後を生きた、ドイツ出身のユダヤ人で、最後はアメリカに腰を据えた人ですね。

学生時代にハイデガーと付き合っていたらしい、という話は聞いたことがありましたが、ここまで公然の事実になっているとは知りませんでした。まずそれが面白かったです。ほかにもヤスパースをはじめ、あの時代を映す人物が次々に出てきます。当時の空気がわかった、とまではとても言えませんが、垣間見えるだけでも十分に面白い本でした(ヤスパースやハイデガーも、おいおい読んでいきたいと思っています)。

活躍したのは1930年代から60年代くらいでしょうか。『帝国主義の起源』や『人間の条件』の人です。本人はギリギリで迫害を逃れましたが、多くの同胞が巻き込まれ、命を落とした人も数えきれないほどいます。主たる関心事がああいうテーマになるのも、当然といえば当然です。

ただ、僕が読みながらずっと考えていたのは別のことでした。あの時代に、女性の学者がここまで活躍して、しかもそれが社会的にはっきり記録され、認められている。本の主題ではないので、その観点には一切触れられていないのですが、ジェンダーの歴史から見てもとんでもなくインパクトのある人だったのだろうな、と思っていました。

で、ここからが本題です。

僕は畑仕事をしながら、耳でオーディオブックや勉強系のポッドキャストをずっと聞いています。ところが消費量が多すぎて、供給が追いつかなくなってきました。ポッドキャストは話の筋を追いたいので溜まってからまとめて聞く派なのですが、今は半年くらい寝かせないと聞くものがない状態です。わんこそばで、給仕さんより客のほうが速く食べてしまっているようなものですね。

そこで、別のジャンルを生活に入れようと考えて、アニメを見ることにしました。もともとコンテンツを作る業界の人間なので、基礎教養としてのコンテンツ消費はずっと続けてきました。ただ動画だけはどうしても苦手です。動画は腰を据えて、処理能力の大半を差し出さないと消費できないからです。畑でアニメは無理ですし、布団に入ってからは本を読みたい。そうなると空いているのは、料理をしてから食べ終わるまでの時間くらいしかありません。そこを動画に充てることにしました。

最初は目についたものから片っ端に見ていきました。一本目は、領民がゼロ人のところから始まる領主のサクセスストーリーのような話です(正確なタイトルはちょっと違います)。戦争で活躍した戦士が領地をもらうものの、そこには領民が一人もいなくて、ゼロから人を集めていく、という筋ですね。

ここ10年ほどでよく見るフォーマットです。主人公は最初から強い。ただ、何かしらの悪条件を与えられていて、それをクリアしながら楽しく暮らしているうちに、大きな物語に巻き込まれていきます。転生はしていないので、異世界ものということになるのでしょうか。

アニメとしては普通に面白いんですよね。たくさんの作品の中から競争を勝ち抜いて映像化されているわけですから、作品の力は十分にあります。続けて見た、「ここは俺に任せて先へ行け」と言ってから10年経って戻ってきた、というような話も同じ系統でした。最初から強い主人公が、日常のドタバタをこなしながらハーレムを築いていき、だんだん大きな話に巻き込まれていきます。こちらも楽しく見ました。

なんだかな、としか言えない

引っかかったのは、どちらかといえば一本目の領民ゼロ人のほうでした。

直前にハンナ・アーレントを読んで、すごいな、かっこいいな、としみじみしていたところです。女性作家の小説もいくつか読んでいて、昨今のジェンダーの問題を考えると、こういう作品の積み重ねが今を生きる人の意識を少しずつ変えていくんだよな、と思っていました。そのすぐあとに、ザ・大衆アニメを見たわけです。

僕はどちらかといえば、ジェンダーの問題では得をしている側にいます。なので見ていて気持ち悪くなったわけではありません。それでも、ここまでいろいろ通ってきた後に、まだこういう表現をやっているんだ、と思うくらいには、ジェンダーまわりの描き方が前の時代のままでした。見ているのは10代や20代も多いでしょうし、男性が中心だろうから、この立て付けで成立するのでしょうけれど、それでもなんだかな、と。

何かを主張したいわけではありません。おお、と思ったんです。面白い世界だな、とも思いました。同じ時代にまったく別の感覚が並んで走っていること自体は、まだ理解できます。漫画の世界には、この言葉はあまり使いたくないのですが、もう少し高尚なテーマのものも多い気がします。ラノベ発のアニメは、作品として面白いのは確かなのですが、どう言えばいいのか……。ここはうまく言葉にできません。

フィルターバブルの時代に、ラノベ原作のアニメだけをずっと見て、声優さんのファンをやっている人もいるわけです(これは男女問わずいますし、女性が見ているアニメはまた別の世界なのでしょうけれど)。いいのかな、この世界、と思います。でも、たぶんいいんだろうな、とも思います。

少しがっかりした気持ちもあれば、やむを得なくない?と言う自分もいます。アニメが産業である以上、次々に消費される雑多なコンテンツを作り続けること自体は、構造上しかたがありません。この表現を不快に思う人は見なければいい、という形でも成り立ってはいます。いいのかな。いいんですかね。皆さんはどう思いますか?

とはいえ、アニメは今後も見続けます。日常のルーティンに組み込まないと、僕の消費のペースに供給が追いつかないからです。ラノベ原作のものも、食傷するまでちゃんと見ようと思っています。アニメ業界で働いている友人も何人かいて、この産業の構造にはとても興味があるんですよね。

僕自身も、今は一人になってしまいましたが、コンテンツを作ることはこれからも続けたいと思っています。絵やキャラクターを生み出す方向の修行はしてこなかったので、そちらの創造力は持ち合わせていません。なので、ゲームのエンジンやテンプレートのような器を作って、そこにコンテンツを載せていく、という考え方でいろいろ作っています(リリースまでこぎつけたものはまだありません)。

そういうわけで、勉強も兼ねて、大衆に受けて大衆に消費されていくコンテンツをしっかり見ていくつもりです。辛くなるまでは。見切れていない古典的な名作もいくらでもあるので、そちらの映像作品にも手を伸ばしていきたいと思っています。

それでもやっぱり、なんだかな、とは思っています。

※この記事はポッドキャスト音声データを元にClaudeが書き起こし、編集したものです。

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